原付バイクで通勤・通学や配達をしているとき、「もし走行中にガス欠になったらどうしよう」と不安に感じることはありませんか?
ガス欠は誰にでも起こり得るトラブルですが、正しい対処法を知っていれば落ち着いて対応できます。
本記事では、原付がガス欠になりかけたときに現れる前兆や症状から、エンジン停止後に実施するべき対処法を3ステップで解説します。日常的にできるガス欠の予防策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
原付のガス欠で困らないために知っておきたい症状・前兆
原付の走行中に次の症状が現れたら、ガス欠が近いサインかもしれません。
- エンジンがゴボゴボと咳き込むような音を立て、一時的に出力が不安定になる
- アクセルを開けても加速せず、平坦な道でも失速感を覚える
- 直進中でも走りがギクシャクして安定しない
燃料計の警告灯が点いた場合、車種による差はあるものの、残量がごくわずかのサインです。「まだ走れる」と過信せずすぐに給油しましょう。
なお、通常のガス欠は燃料切れが原因で給油すれば回復します。しかし燃料が十分あっても「ガス欠症状」が出ることがあり、この場合は燃料系統の不調が考えられます。ガス欠症状が続くときは、迷わず整備ショップに相談してください。
原付のガス欠でエンジンがかからないときの対処法3ステップ

ここでは、原付のガス欠でエンジンがかからないときの対処法を3ステップで紹介します。
- 安全を確保する|落ち着いて原付を路肩に寄せる
- 燃料を補給する|ガソリンスタンドを探す
- 給油後の注意点|エンジンがかからないときの対処法
ステップ1.安全を確保する|落ち着いて原付を路肩に寄せる
ガス欠でエンジンが止まっても、まずは自分と周囲の安全を守ることが最優先です。以下の手順で行動し、危険のない場所へ原付を移動しましょう。
徐々に減速して路肩へ移動する
後続車に注意しながらゆっくりとアクセルを戻し、惰性で走れるうちは徐々に減速して左端に寄せていきます。エンジンの力が失われてもハンドル操作は効きます。しっかり握ってバランスを保ち、安全に停車できる場所まで誘導しましょう。
周囲への合図を行う
停車する際は後方からの車に自分のバイクの存在と緊急事態を知らせましょう。ハザードランプを点滅させるか、原付スクーターでハザード機能がない場合は左ウィンカーを出しっぱなしにすることで、周辺の交通に配慮するケースもあります。
エンジンの停止を確認し、安全な場所へ移動する
道路脇に原付を停めたら、エンジンが完全に停止しているのを確認します。可能であれば、さらに安全な場所まで原付を押して移動しましょう。
夜間は反射ベストや三角表示板などの反射材を活用し、交差点直後やカーブ先など見通しの悪い場所での二重停車を避けてください。
他の車やバイクの通行の邪魔にならない位置まで運べば、追突などの二次事故を防げます。停車後も焦らず、まずは身の安全を確保してください。
ステップ2.燃料を補給する|ガソリンスタンドを探す
原付を停車したら、燃料を補給する手段を考えます。ガス欠時の対応は 「押していく、携行缶を借りる、救援を呼ぶ」 の順で考えるのが基本です。ただし、どの方法を取るかは 距離、体力、時間帯 といった状況に応じて、無理のない判断をしてください。
近くのガソリンスタンドまで押していく
徒歩で行ける範囲にガソリンスタンドがある場合は、原付をそこまで押して歩くのが基本的な考え方です。
50ccの原付スクーターであれば比較的軽量なので、ゆっくりなら押して移動できるでしょう。ただし上り坂がある道ではかなり体力を消耗しますし、真夏や真冬は数百メートルでも大変です。無理せず体力と相談して決めてください。
ガソリン携行缶を借りる
最寄りのガソリンスタンドが遠いときは、ガソリンスタンドでガソリン携行缶を借りて燃料を持ち帰る手があります。多くの場合「ガス欠したので、携行缶を貸してください」と申し出れば貸してくれます。
なお、携行缶でガソリンを購入する際は、消防法の通達により氏名、住所などの本人確認と使用目的の記入が義務付けられています。
また、ガソリン入りの携行缶は意外と重いです。数リットルでも持って歩くとかなりズッシリ感じますので、無理のない距離で活用してください。
参考:ガソリンの容器詰替え販売における本人確認等について | 総務省消防庁
ロードサービスや友人に救援を依頼する
近くにスタンドが見当たらない、押していくには遠すぎると感じたら、無理せず助けを呼びましょう。
家族や友人に電話できる状況なら、迎えに来てもらうか、ガソリンを持ってきてもらうのも一つの手です。
また、日本自動車連盟(JAF)や自動車保険に付帯するロードサービスに加入している場合は、緊急連絡先へ連絡しましょう。多くの保険会社では無料または低額でガソリン補給に対応してくれます。
さらに、会社によってはバイクのレッカー移動にも対応しています。ただし費用が高額になることもあるため、最終手段と考えてください。まずは知人への依頼やロードサービスでの燃料確保を優先しましょう。
ステップ3.給油後の注意点|エンジンがかからないときの対処法
給油したのにエンジンがかからない場合、燃料がうまく行き渡っていない可能性があります。給油直後は燃料の流れが安定していないことがあるので、落ち着いて順に対処しましょう。
しばらく待ってから再始動する
給油直後は燃料がタンクからキャブレターやインジェクターに行き渡るまで時間が必要なため、焦らず1〜2分ほど待ちましょう。
その後セルを回して始動を試みますが、一度に長く回しすぎないよう注意が必要です。5秒ほどクランキングしたら一旦止め、様子を見ながら再度チャレンジしてください。
連続で長時間セルを回すと、バッテリーが上がったり、セルモーターが過熱したりする恐れがあるため注意しましょう。
少しアクセルを開けてみる
再始動時にエンジンがかかりそうでかからない場合は、セルを回しながらアクセルをほんの少し開けてみましょう。
スロットルを軽くひねることで燃料と空気が混ざりやすくなり、エンジンの始動を助けることがあります。ただし、勢いよくアクセルを開けすぎると、逆効果なので注意しましょう。
エア抜きを行う
エア抜きは、インジェクション車(FI車)とキャブレター車で対応方法が異なります。
インジェクション車の場合は、給油後にキーをONにすると燃料ポンプが作動する音が聞こえます。この動作をONからOFFへを数回繰り返すことで燃料ラインに残った空気を押し出し、エンジンが始動しやすくなります。続いてセルを回せばスムーズに再始動できる可能性を高められるでしょう。
キャブレター車では、燃料コックにPRIモードがある車種なら、給油後にPRIへ切り替えて数十秒待ち、再びONに戻してからセルを回すと効果的です。PRIがない場合でも、一度OFFにしてからONに戻す操作で燃料経路を刺激し、かかりやすくなるケースがあります。
予防と日頃の備え|二度とガス欠で困らないために
原付でガス欠を防ぐには、日頃の走行管理が重要です。平均燃費とタンク容量から航続距離を把握し、早めの給油を習慣化しましょう。トリップメーターは給油ごとにリセットしておくと、走行距離から給油時期を予測できます。
また、インジェクション車(FI車)は、長期間放置するとポンプやインジェクターが固着し始動性が低下するため、定期的にエンジンを始動して燃料を循環させましょう。
キャブレター車では、以下の燃料コックの役割を理解しておくと緊急時に慌てず対応できます。
- ON:燃料が通常の経路から供給される位置
- RES:残り少ない燃料を使う予備位置
- PRI:エンジン停止中でも燃料を送れる位置
さらに、長距離ツーリングではガソリン携行缶を備えるのも有効です。ただし購入時には本人確認や使用目的の記入が必要となるため、扱いには注意しましょう。
まとめ
原付のガス欠は、誰もが一度は経験する可能性があります。「ガソリンはまだ大丈夫かな?」と不安に思ったら早めに給油する習慣をつけて、トラブルを防ぎましょう。
万が一ガス欠になってしまっても、あわてず順序立てて対処すれば大事には至りません。日頃から備えを整えてガス欠を防ぎ、快適な走りを楽しみましょう。






